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あけましておめでとうございます。
年明け初更新です。
ssのクオリティは別にして、ともかく更新を続けたいと思う今日この頃。

終わらせ方が分からなくなってふわふわした地文に戻して締めちゃいました。

それでは『こたつねたふり』





「・・・・・・、・・・、・・・?」

目が本当に薄っすらと、恐らく見た目には閉じているのと変らない程度に開く。
意識が覚醒し、うっかり眠っていたことに気がつく。
どうやら炬燵に入ったまま、その心地よい暖かさにうとうと寝入ってしまったようだ。
とはいっても、恐らく10分か、15分か。その程度のことだとは思うのだが。
なんだか変な夢を見ていた気がするが、今となってはどんな夢だったのか全く思い出せない。
ただなんとなく、そんな感じがするだけだ。

そして気がつけば、私の隣で炬燵に入っているなのはに、すっかりもたれかかってしまっていた。
目覚めたことだし、体を起こそうかという気持ちと、このままなのはにもたれていたいという気持ちが相反するが、割とあっさりと結論はでた。
このまま、なのはに体を預けておこうと。
まるで幼い子供が母親にするようだなと思わなくもないのだけれど。
別になのはの前で今更そんな体裁のようなものを気にする必要もないだろう。

寝たふりをする私の頭を、なのはがそっと撫でる。
その手付きは、とても優しいものだ。

「フェイトママも、なのはママの前だとこうだもんね」
炬燵の向かいからヴィヴィオの声がする。

『こうだもんね』というのがどういうことかはわからないけれど、少なくとも褒められているわけではないんだろうなというのは伝わってくる。

「可愛いよね?」

「うーん、娘として親に可愛いというのはなんだか間違っているような気が・・・」

「えぇー?じゃあヴィヴィオはフェイトちゃんは可愛くないっていうの?」

「普段はやっぱり可愛いっていうよりは綺麗だなって思うよ。けど、なのはママの前だと、ねぇ」

かたん、と、天板にコップかなにかを置く音がする。
なのはも何も言わず、ただ頭を撫でていた手が肩に回され、軽く抱き寄せられる。
恐らく寝ていると思っている私を起こさないためだろう。

「あーあー。いいなぁ、フェイトママは。こんなに愛して貰えてさぁ」

「にゃはは、ヴィヴィオにもそのうち素敵な人が見つかるよ?」

「それはそうかもしれないけど・・・。二人を見てるとたまに思うんだよねぇ。どうやったらこんな夫婦になれるのかなぁってさ」
まさかヴィヴィオからそんな言葉が出てくるとは思いもしていなかった私は、思わず口から漏れそうになる声をどうにかこうにか抑える。

「好きだーっていう気持ちが、愛してるーっていう気持ちに変れば、その後は自然とこうなるものだよ」

「でも世の中には別れちゃう夫婦もいるよ?」

「そんな安っぽいのは愛とは呼ばないよ。もちろん、やむを得ず別れた人だっていると思うけどね」

ふぅ~んと唸るヴィヴィオはそれでもまだ半信半疑。
完全には納得していない様子だ。
どうやったらこんな夫婦に・・・か。
今思い返してみても、こうやってなのはと暮らしているのは本当に奇跡なんじゃないかと思う。
私となのはの夫婦生活は、こんなことを言うと嫌味に聞こえてしまうかもしれないが、本当に順調そのものだ。
もちろん途中に上り坂はあったけれど、そんなのはなのはと一緒なら全く苦にならなかった。
私がもうだめだと心が折れそうなときも、なのはが私を引っ張ってくれたり、背中を押してくれたり。
時には私を背負って歩みを進めてくれたりもした。
そして逆に、なのはが少し疲れたというときは、私はどうにか彼女の疲れを癒そうと頑張った。
何かで悩んでいれば、出来る限りの力になってきたつもりだ。
そうだ。順調な夫婦生活というのは、望んでなるものではなく、結果としてなるものだ。
女性同士での夫婦も、制度で認められていても、一般的とは言い難いだろう。
それでもやってこれたのは、相手がなのはであったからこそだ。
例え誰かに後ろ指をさされようが、影で悪口を言われようが、私はなのはと恋人でありたかった。夫婦でありたかった。
そしてなのはは、後ろ指をさされたらその指を折り、悪口を言われたらその口を縫い・・・というのは流石に言いすぎだけれど。
なのはも私と一緒であることを望んでくれていた。今では、なのはと私が夫婦であることを悪く言う人は誰も居ない。
そこにある愛が、周りの人に対して強い説得力を持っていたのだと思う。
他人から見て私達夫婦がどう映っていたのかは知らない。
けれど、心から祝福してくれる人も、うらやましがる人も、応援してくれる人も、そしてヴィヴィオのように『二人のようになりたい』といってくれる人もいた。
私から愛してると言う事は、なのはがそうしてくれるよりも少ないかもしれないけれど、こういうのは数の問題じゃないんだ。
なのはも、決して数の問題だと思っていつも言ってくれるわけではないだろう。

「ヴィヴィオはさ、私がこの左手でフェイトちゃんの頬を打ったら、フェイトちゃんは私と別れたいって言うと思う?」

そんななのはの言葉に、ヴィヴィオが慌てたように『えぇっ!?ママ達喧嘩してるの!?』と尋ねるが、なのはは笑いながら『いや、例えばだよ。例えば』と付け加える。
それをきいてほっと一息ついて、ヴィヴィオは即答する。

「それはないんじゃないかなぁ。なのはママがフェイトママに手をあげるっていうのがまずありえない気がするけど。もし、そんなことがあったとしても、フェイトママは別れたいなんていわないと思う」

「それは、どうしてそう思うのかな?」

「うぅ~ん?上手くいえないけど、そんなことは問題にならないくらい信頼が強いって言うか。もしもそれで二人の仲にヒビが出来ても、簡単に直りそうっていうか。俗っぽい表現だけど、愛し合ってるからかなぁ・・・」

「結局さ、いい夫婦になるには、愛し合ってることが一番大事なんだよ。結局ね。結局、そういうこと」

難しいことは何もいらない。
良い夫婦とは、結局心から愛し合っている夫婦ということだ。

「ね?フェイトちゃんもそう思うでしょ?」

肩を抱いていた手が下へ下がって腰に回される。

「・・・いつから気付いてたの?」

あっけなく白旗を揚げる。

「それはもちろん。フェイトちゃんが起きたその時からだよ」

にっこりと笑うなのはは本気で言っているようにも冗談で言っているようにも見えたが、恐らく本気で言っているのだろう。
開き直って、普通に眼を開いてなのはに身をゆだねることにした。
にっこりとしていた笑みが、ふっとやわらかい笑みに変り、よりしっかりと引き寄せられる。
なのはの肩に頭を乗せて向かいを見やると、ヴィヴィオが私の方へみかんをひとつ差し出す。

「昔は私の前ではベタベタしてなかったような気がするんだけどなぁ」

「まぁ、ほら。ヴィヴィオのその辺に対する理解が深まってきたから、もう遠慮する必要もないのかなって」

私がそう答えると、ヴィヴィオはやれやれといった様子で首を振る。

「それで、フェイトママ。どうやったら二人みたいな夫婦になれるの?」

私にも聞かれるとは思ってなかったけど・・・

「う~ん、やっぱりなのはが言ったみたいに、愛し合ってることが大事だよ。ヴィヴィオがお婿さんになるのか、お嫁さんになるのか分からないけれど、お嫁さんになるならもうひとつアドバイスがあるかな」

なのはの首に手を回して、なのはにぎゅーっと抱きつく。

「それは、こういう素敵な旦那様を見つけることだよ」

なのはが私をしばし見つめた後、ヴィヴィオの方を見て、また私の方を見る。
大きく息を吸うと、脱力するように息を吐く。

「・・・フェイトちゃん。色々困るんだけど・・・。その、肩に胸が・・・」

「嫌なの?」

抱きついている所為で、非常に顔が近い。

「大人をからかうんじゃありません」

人差し指でツンと額を突かれる。
思わず私の眉間に皺が寄ると、全く・・・と言う様子で緩やかな笑みがなのはに浮かぶ。

こたつの暖かさが、じんわりと、ゆっくりと、心の暖かさにようやく追いつこうとしている。
首へ回した腕に、赤い糸が絡む。
なのはの小指と、私の小指。
きっとその指をそっと絡ませ、なにか些細なことでも誓い合えば、その赤い糸も静かに絡むだろう。
語れずにいた想いもその糸を伝って、なのはに伝わるのだ。

歪まずに、濁らずに、蒼い蒼い彼女の瞳が、私を蒼に染める。
時が止まれば、果たしてそこにある幸せは永遠のものとなるのだろうか?
それとも、知覚するもののいない幸せは幸せとは呼べないのだろうか?
しかし、少なくとも今この身はなのはの創る幸せに漂う。
ああ、貴方の鼓動が、私に伝わる。普段と変らない、私の大好きな、あなたの拍動。
ああ、私の鼓動が、貴方に伝わる。普段より、遥かに早く、ドキドキと。

抱きついていた私の腕をなのはが軽く緩ませると、こたつに入りながらも、上半身をひねるようにして、互いに正面から抱き合う。
ヴィヴィオには悪いけれど、今はヴィヴィオの声も、頭には入らない。
何か言っていることはわかっても、それが私の世界に入ってこない。
ただ何もない静かな夜に。
何かに惹かれるように。二つの影が静かに重なり、離れる。

全く。こんなに好きになっても、思いが尽きない。
なのはに名前を呼ばれて、抱きしめられるだけで何も考えられなくなる。
もう戻れない。戻る場所がない。
今夜も近くで、愛の言葉が零れる。

こたつ、寝たふり。ただ貴方に心を委ねて、今日が終わり行く。

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2014.01.18 / Top↑
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