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なんとか間に合いました。
それでは3作目。
前作とおんなじで、フェイトさんにジェラシー描写。

しかも1%程度のエロ要素を含みながらも全く続かない。

それではどうぞ、『嫉妬?独占欲?』





ベッドの上で横になったまま、身支度しようと起き上がろうとするなのはのパジャマの上着を掴む。
ぎゅっと強く掴むと、なのははベッドから去るのをやめ、その場で動きを止める。

「行かないで、って言ったら怒る?」
「別に怒りはしないけどね」

思いとどまるように、もう一度ベッドに横になる。

「またあの男の人でしょう?」

私の質問に、なのはははっきりと頷く。
これで3回目になる。なのはが休日に、同僚の男性と昼食を食べに行くのは。
実際には仕事の打ち合わせをしているだけだと思うし、夜遅くなることもなく、夕飯前には帰ってくる。
それでもやっぱり、面白くないものは面白くない。
なのはに限って浮気なんかありえないことだ。
最初のとき、必死に弁明して家を出て行ったのは記憶に新しい。
『私はフェイトちゃん一筋だから!』なんて。
そこまで一途で居てくれることに心から安堵したのを覚えている。
いや、でも。
でも、というか。だからこそ。
なのはとその男性が一緒になってほしくない。
仕事なのだから仕方の無いことだというのは分かっている。
こんなことに醜く嫉妬して、まるで高校生の初々しい恋愛のようだとも思う。
けれど、そのわずかな一場面に、私の知らないなのはが居そうな気がして、それがどうしても心が引っかかる。

「ごめんね。でも仕事だから・・・」

行こうとする彼女のパジャマを、決して離さない。

「ヤダ」

私がそっぽを向いて短く強く拒絶すると、なのはが困っているのが雰囲気で伝わってくる。
1回目、2回目と渋々ながらも送り出してくれていた私に、ここにきて駄々をこねられてどうして良いのかわからないのかもしれない。
けど、なのはも悪いよ。
いくら仕事だからって3回も男の人と2人きりで食事しに行くなんて。
私だってなのはとお昼ご飯食べたいのに・・・。
『今日も美味しいよ』って褒めてもらいたいのに・・・。

気持ちの大きさと、内容の子供っぽさにいささかのギャップを感じるが、それはそれ、これはこれ。
私にとっては本当に重要なんだから。

「フェイトちゃん」

「ヤダ」

『まだ何も言ってないのに』となのはが呟く。

「どうして今日は、そんなに聞き分けがないのかな?」

言って、私を組み敷くようにするなのはの顔は、やさしさに満ちている。
こんな下らないことでわがままを言う私の方がかえってバツが悪くなってしまうほど。
身動きしようとしても、思いのほか強く押さえ込まれていて動くことができない。

「だって・・・」

いざ口にしようとすると、内容が余りに幼稚で、上手く言葉が出てこない。
こんなことを言って、なのはに呆れられたらどうしようとか。そんな心配が急に沸き立つ。
それでも、なのはの顔には微塵の苛立ちも見えない。
ただ急かすことなく、私の言葉の続きを待っているように見える。

こんなとき、泣くことができればどれだけ楽かと思う。
叫ぶことができればどれだけ楽かと思う。
心にぐるぐると渦巻く感情を、それの妥当性に関係なく、発散することが出切ればどれだけ楽かと。

「だって、なのはが、なんだか取られちゃうような気がして」

言いあぐねた末に口から出たのはそんな言葉だけ。
もっと他にも思っていたことはあったけど、一番重要なところだけがぽつりと漏れる。
それがありえないことだというのは分かってる。
分かっていても、思ってしまうものはしょうがない。

「私が信じられない?」

「信じてるよ・・・でも・・・」

力なく言葉に詰まると、『今のは意地悪だったね』となのはが謝る。

ちょっと待ってて、と、私の上からすくっと起き上がり、部屋から出て行こうとする。
思わず、なのはのパジャマに手を伸ばすが、軽くあしらわれて、パタリと寝室のドアが閉まる。
追いかけようかな、どうしようかなと悩んでいると、わずか2、3分ほどしてなのはが戻ってきた。
そして、もう一度ベッドに横になる。

「今、今日はちょっと無理になっちゃってって断ってきたからさ。ね?」

私が何か言おうとする前に、なのはが言葉を続ける。

「気にしなくて良いよ。そんなに急ぎの仕事でもないし。お嫁さんにこうして妬いてもらえるのは、夫冥利に尽きるってね」

茶化したようになのはが笑う。
相手の人には悪いけれど、私のためになのはが今日は家に居てくれるのだと思うと、自然と嬉しくなってくる。
わがままを言って申し訳ないという気持ちもあるけれど、それでもやっぱりなのはと一緒に居られるのは嬉しい。

「なのはは、いつも私の隣に居てくれたし。いつも私を包んでくれていたから、居なくなると思うとふとしたときに不安になるんだよ・・・」

そうか。私はなのはが男性と居ることが嫌だったわけじゃないんだ。
私の隣から、なのはがふわふわと居なくなってしまうことが怖かったんだ。
今でも、嫌な夢を見ることがある。
けれど、その夢から逃げるようにして覚醒したとき。
なのはに抱きしめられて自身が眠っていると、途端に心が落ち着いていくことがある。
無防備に眠るなのはの寝顔と、その髪から香ってくる柔らかな匂い。私をやさしく抱きしめている腕。
可笑しな表現かもしれないが、一種の被支配欲が満たされるのだ。
私がなのはのものであるということを確かめられる気がするのだ。

「なのはを信じてないとか。そういうことじゃなくて。単にヤキモチってことでもなくて。なんていうか・・・」

自身の語彙から必死に言葉をひねり出すが、どうにもこうにも出てこない。
今日の私は言葉に詰まってばかりだ。

「あはは、別に無理に言おうとしなくてもいいよ」

おいでおいでと手招きするなのはに釣られて近づいていくと、強く抱きしめられたまま、ごろんと上下を入れ替えられ、私の瞳に天井が映る。

「心配しなくても。私はここにいるから」

耳元で甘く囁かれる。

「うん」

「フェイトちゃんが、今日みたいにヤダヤダって言っても、離してあげないからね?」

「うん」

「フェイトちゃん、顔赤くなってる。可愛いね」

「・・・うん」

「けど、珍しいね?フェイトちゃんがあんなふうに独占欲剥き出しにするなんて。まぁ、あんな可愛らしく表現されるとは思わなかったけどね」

珍しいね?といわれれば、そうなのかもしれない。
けど、私にもやっぱり独占欲はある。
まぁ、可愛らしくって、そりゃあそうかもしれないけど。
なんだか恥ずかしくなって、なのはの首筋をがぶり。
「いたっ」と言うなのはの声もどこ吹く風。照れ隠し。
合わせた彼女の目に、支配欲が揺らめくのが分かり、しまったと思うころには既に手遅れ。
私の首筋に、私がなのはにしたような噛み付くような痛みではなく、甘い痺れが走る。

「ちょ、ちょっとなのは」

「フェイトちゃんが誘ったんだよ?私の独占欲は、あんまり可愛らしくはないかもしれないけどね?」

どうにか逃げようする私を押さえ込み、その手が上着にかかった途端、玄関から来客を知らせるインターホンが鳴る。
宅配便か、それともセールスか。
どちらにしても、なんとも間の悪い。
・・・いや、間の良い。
なのはも興醒めといった様子で、ため息ひとつで起き上がる。
私もなのはと一緒に起き上がり、部屋から出ようと歩みを進める。
お客さんはなのはに任せて、私はお昼ご飯の準備をしなくては。
ヴィヴィオがいればお客さんに出てくれそうなものだが、あいにく今日は昨日から止まりで遊びに出てしまっている。
なのはの後ろでそんなことを考えていると、なのはの手が寝室のドアに伸びたかと思うと、思い返したように私の肩を掴んで、壁に押し付けて、体を密着させる。
私の股下に足を割り込ませると、右手を頤にあて、目線を揃える。

「今はこれでおしまいにするけど、今晩は覚悟してね?今日は、フェイトちゃんから誘ったんだからね?」

言い残して、まるで家主を急かすようになる二度目のインターホンに、『はーい』と駆け去ってゆく。

まだ心臓がドキドキしてる。
一度瞬間的に収まった熱も、再沸騰する。

「もうっ・・・」
その熱を放出するようにひとり言。
そのままずるずると壁にもたれかかりながら座る。
これは今日の夜は激しくなるなと、若干の不安と、若干の期待。

いや、やっぱり少しは手加減してほしいと思いつつ、私はしばらく心臓が落ち着くのを待ち続けた。


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2013.11.29 / Top↑
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