訪問ありがとうございます。

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--.--.-- / Top↑
なんか書いてたら長めになっちゃいましたが、大して推敲もせずにぽちっとな。

強いなのはさんが好き。
地文ばっかりなんでなのフェイ分は薄いですが。

完全にただの妄想の垂れ流しです。

では、『護らねば』





模擬戦なら、ときに負けることもある。相手と実力が伯仲していて、かつルールに縛られていれば尚更だ。
しかし、もしものとき、ルール無用の実戦でフェイトちゃんを護る時なら、私は誰にも負けはなしない。
一切の嘘偽りなくエースオブエースとして、その場に君臨しようじゃないか。
自らの実力に決して驕ることなく、浅はかな者なら勘違いしそうな魔法の力を制御して、フェイトちゃんだけじゃなく、愛娘や親友や、後輩に、高町なのはとして接してきた私ではなく。
そのときは、何の因果か授かった魔法の力で、ただ修羅として、いざや征く。


どこからか漂ってくる硝煙の臭気と、雲ひとつ無い晴天は全くのミスマッチだ。
戦場には曇りや雨が似合う。もちろん、雨では身動きしにくいのだけれど。

戦況は一時的な落ち着きを見せ、管理局優勢のまま進行している。
周囲を見渡しても、私と同じく前線に出ている面々も、多少は気が安らいでいるように見えた。

「なのはちゃん、ええ加減交代や」

背中からかかった声に振り向けば、はやてちゃんと、その後ろにシグナムさんが控えていた。
かれこれ何日も、わずか数時間の睡眠しかとらず前線に立ち続けていることに、現場の指揮官として見過ごせなくなったということだろう。

でも、駄目だ。鎧袖一触といえるような戦いであったとしても、私は常に前線にいなくては。そうでなくては、フェイトちゃんを護れない。
もしも私がここを離れ、敵に前線を突破され、結果彼女が傷つけば、私は一生後悔することになるだろう。
繋いだ手から、彼女のぬくもりが感ぜられなかったとき、護れなかったという科せられた罪を、私が償う方法はない。
毎夜毎夜、目を瞑れば浮かぶ、彼女との思い出に枕を濡らす人生はご免だ。

「交代はしない、シグナムさんを連れて、本営に戻ってよ」

私がそういうと、はやてちゃんはため息ひとつ。

「なのはちゃん、そない無理続けたら、それこそいざというとき動けへんで。交代要員がシグナムならなのはちゃんも不満ないやろ?」

そうだ。確かに適任だ。
魔道師としての実力も、戦況を分析する能力も、判断力も、統制力も。

しかし。しかし。

駄目だ。

「はやてちゃん。心配しなくていいよ。こう見えても、エースオブエースだよ?ちょっと疲れただけじゃ、シグナムさんにも負けないよ。なんなら、今ここで・・・」

・・・可愛がってあげようか?

二人の瞳に、恐怖の色が浮かぶのが、はっきりと分かった。





親友の高町なのはが、エースオブエースとなるのにそう時間はかからなかった。
類稀なる才能と、それに頼りきりにならない努力の積み重ねが、彼女が一線級の魔道師となった大きな要因だろう。
昇進する機会はいくらでもあったはずだが、本人は現場に残ることを強く希望し、階級だけは据え置きで給与や手当てだけが増えていった。

しかし、スポーツ選手がそうであるように、全盛期というのはいつかは過ぎるものだ。
実力は右肩下がりになり、かつての教え子に後を任せて世代交代する・・・。
それは当たり前のことだ。

けれど、その彼女にとって、当たり前は当たり前ではない。必然は必然ではない。
かつてもう一人の親友の、フェイトちゃんを助けたときや、私自身を助けてくれたとき。
あの時も彼女は変えがたい必然を覆してきた。

名実ともにトップの椅子に付いた彼女は、月日がどれだけ流れても、その椅子に危なげなく座り続けた。
その月日の中で実力のある魔道師というのは勿論居た。
そして高町なのはと模擬戦を経験した者も少なくはない。中には勝ってみせると意気込む者さえ居た。
模擬戦の結果は、高町なのはの全勝・・・ではなく、エースオブエースと引き分けたり、あるいは辛うじて勝ったものも少数ではあるが存在する。
では、何故そこで世代交代が起こらなかったのか。2回目の模擬戦をしたら負けてしまったからという人もいるのだろうが、それは大きな理由ではない。
大きな理由は、高町なのはと模擬戦をした者が、その模擬戦の勝敗に関らず「実戦なら死んでいた」と口を揃えて言ったからだ。

普段は温和で面倒見がよく、笑顔が似合い、ちょっとお嫁さんが好きすぎる旦那さん、という彼女がそんな魔道師だとは、何も知らない人なら信じないだろう。


そんなおり、私を含め司令級の人間に緊急招集がかかったのはつい1週間前のことだ。
内容は至極簡単で、反管理局勢力から、ミッドチルダへ攻撃の恐れあり、とのこと。
各々の手の届く範囲で隊を構成し、それぞれが地区を分担して防衛に当たって欲しいとの命令だ。
そして奇しくも割り振られた防衛地区内には、私やなのはちゃんの家が存在していた。

正直に言えば、私は自身の部隊になのはちゃんを編入するべきではないと思っていた。
私の部隊にはシグナムがいて、ヴィータがいて、そのほかにも私が声をかければ引き込めそうな優秀な魔道師というは何人もいた。
要するに、私の部隊になのはちゃんをいれるのは、戦力が偏りすぎるだろうということだ。
しかし、なのはちゃんの耳にその話が入ったその翌日、彼女は武装隊の正装で私の元へ挨拶に来た。
幼馴染としてではなく、一人の局員として、私の元へ、部隊に入れてもらいたいとお願い来たのである。
一体どこから部隊の地区割りが漏れたのかは不明だが、彼女と相対し、眼を合わせたとき、どんな誤魔化しも、迂遠な拒絶も通用しないと思った。
私には、彼女の申し出を受けるか、はっきりと拒否するかのどちらかしかなく。
編入すべきでないと思っていた私は、しかしそのとき、彼女を拒否することは出来なかった。

それは彼女の思いを酌んだという理由もある。私情を挟むべきでないと分かっていても、どうしても幼馴染としての彼女との付き合いが結果に影響したというのもある。
だが、恐らく、私が彼女を拒否できなかったもっとも大きな理由は、『私自身が、高町なのはという存在を部隊に入れることで安心したいから』に違いなかったのではないだろうか。
もしかすれば、防衛地区がここではなく、もっと別の辺境の地であれば。私は彼女を諭すことも出来たのかもしれない。
そうだ、偉そうなことをいっても、私も一人の弱い人間だ。
いつの間にか階級も上がり、守る側ではなくて守られる側の人間になっていた。
そしてその部隊に、高町なのはがいてくれれば、私の家族も、家も、仲間も、きっと守ってくれるだろう。彼女は、次元最強の魔道師なのだから。私のエゴばかりで申し訳なくも思うが・・・本当に、彼女が幼馴染で良かった。






管理局から、外出禁止令が出たのは、なのはがはやての部隊へ出向した当日のことだった。
当面の間、この地区への物資の運搬は管理局の局員がお世話してくれるとのことだ。
当然のように全ての教育機関も休校となり、随分と背の伸びた愛娘と二人、家でなのはの身を案じている。
武装隊に所属している以上、こういう事態のとき、なのはが出て行かねばならないことも当然知っていた。
けれど、私はどうしても納得できなかった。
なのはに万が一のことがあったらと思うと、気が気でなかった。
プライベートな回線ではやてに連絡を取ったりもした。
お願いだからなのはに無理をさせないでくれと。
そのとき、モニターに映るはやては『任せとき』と困ったように笑っていたが、その顔を見て、私はなのはが無理をしているのだと感じた。
けれど、なのはがどんな思いで無理をしているのかも私には分かった。
普段は私やヴィヴィオのことを過保護なほど目にかけているのに、自分のことは蔑ろじゃないかといいたくもなる。
けれど、それこそが高町なのはなのだろう。
できることなら、私もなのはの元へ駆けつけたい。彼女の背中を預かり、バルディッシュと共にもう一度空へ上がりたい。
知り合いにお願いすれば、恐らくそれは可能だ。はやてやクロノは駄目だというだろうが、他の知り合いに頼めば、元執務官として、あるいは、八神司令への遣いとして、高町教導官の配偶者として、外出を許してくれる人もいるだろう。
それでも、私が行動に移さないのには理由があった。それは、私がそうやってなのはの元へ行ったとしても、なのはは喜ばないと思うからだ。
普段のやさしく暖かい彼女ではなくなり、一切の遠慮もなく私を叱責するだろう。
家に戻って、大人しくしていろというだろう。
それでも私が拒否すれば、力ずくで帰すに違いない。
それは、私を弱いもの扱いしているわけではない。現場から離れ、ブランクのある私では力不足だというわけでもないのだと思う。
自身の傘に私が入っていないことがどうしようもなく不安なのだ。
時には庇護されるということが、相手を思いやることにもなる。

何もかもが、現実離れしたことに思える。
これほど愛しているなのはが居なくなってしまうかもしれない。
数年前のように、ひどい怪我を負うかもしれない。
別れというのは、いつかはくる。それは仕方が無い。
しかし、今ではないだろう。あまりに早すぎる。
もしも、もしも神というのが、人の作り出した偶像などではなく、実在するのなら。
この人生で、神に祈り、その社に捧げたお賽銭が商的では無い、何か真っ当な意味を持つのなら。
どうか、どうか。なのはを守ってください。
私の大切な人を、黄泉比良坂へ案内しないでください。

・・・いや、変な考え事はやめよう。
戦況は管理局の圧倒的有利と伝え聞いている。私は何も考えず、なのはが帰って来たときの為に新しい料理のレシピでも考えていれば良いのだ。

きっと、もう2、3日の辛抱だろう。
恐らくは、ヴィヴィオの前であるにも関らず、臆すことなく愛の言葉が発せられるだろう。
数日、なのはの温もりが潰えただけでこれほど辛いとは思わなかった。
自分でいうのも変だが、私はそれなりに独りでもやっていけるタイプだと思っていたが、それは間違いだった。
私の名前をやさしく呼んで欲しい。
どんな人でもあんな声で呼ばれたら堕ちずにいられないような。それでいて、私しか聞けないなのはの声。
ふわふわとした、甘い甘い時間を過ごした後、あの人の腕の中で眠れるのだと思うと、自然と口元がほころんだ。
 




「フェイトちゃん、なのはちゃんは前線に立たないでほしいって泣いとったで」

瞬間、威嚇するように出した殺気を引っ込めると、幾許か安堵した様子ではやてちゃんがそう言った。

「それは嘘だね」

「なんでそう思うんや?」

「私のことは、フェイトちゃんが一番良く知ってるからね。彼女は、きっと私の気持ちも全部分かってて、受け止めてくれてるはずだよ。それが私なんだと分かってくれてるはずだよ。彼女は、皆が思うよりもずっと強い人間なんだ。私のことを心配さえすれど、そんなことは言わないよ」

そうだ。フェイトちゃんは、強い人だ。
私がこうしていられるのも、彼女のおかげだ。
もちろん、彼女のおかげだけではない。今目の前で、呆れたように笑う親友や、その後ろに立つ親友の家族や、愛娘、後輩、教え子、あげればきりがない。
私が今、エースオブエースとしていられるのは、私の力ではない。
私を支えてくれるものがいたからこそだ。

この特務も、時機に終わるだろう。
そうしたら、家に帰って、まずフェイトちゃんになんと言おう。
通信に応じなかったことを詫びるのが先だろうか。
何事もなかったかと尋ねるのが先だろうか。
心配をかけてごめんねというのが先だろうか。
いや、どれも違う。

愛の言葉を投げかけるのが、もっとも似つかわしい。

別に本当に命の危機があるほどの戦地に赴いたわけではない。
特務の結果は数の差からいっても明らかであったはずだ。

武装隊として前線に立ったのは今回でやっと2度目だ。
もちろん、多いよりは少ないほうが良いが・・・。

前回も前線にたって思った。
本人にはとてもいえないが、ヴィヴィオが前線向けの魔道師タイプでなくて良かったと。
ヴィヴィオが、私の背中を見て武装隊に入りたいと言ったり、フェイトちゃんに教えを請いながら執務官になりたいと言ったりしなくて良かったと。
親心としては、それが本音だ。娘が危険な仕事に就きたいといって喜ぶ親はいない。
実際にそうなっていない以上、はっきりとしたことはいえないが、恐らく私は第一声は反対しただろう。
その後のヴィヴィオの熱意次第ではわからないが、並大抵のことでは首を縦に振ることはなかったように思う。
護れなくなることがどれだけ不安なのか。
ヴィヴィオだけではない。もちろん、フェイトちゃんもだ。
最愛の伴侶が、そして愛娘が。
彼女達が、私では止められないほどの力を持つことは、嬉しいというよりも、不安という気持ちの方が大きい。

この気持ちは、人を愛したことが無い人にはわからないかもしれない・・・。

ふと背後を見やると、ミッドの明かりが徐々に消え始めていた。
光景は、如何に皆に私達局員が頼られているのかと言うことを暗示する。
もう子供は眠ろうとしている。私たちを残して。
子供達が不安で眠れないなどということはなく、子供は今日も、夢の世界を走り回る。

月が花道を行こうとしている。

さぁ、もう数日、気を張って行こうじゃないか。
皆が何の心配もなく。笑顔で過ごせるミッドが戻るそのときまで。

スポンサーサイト
2013.11.17 / Top↑
Secret

TrackBackURL
→http://ikayasasusawak.blog.fc2.com/tb.php/54-17a10902
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。