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二人はこうやってコーヒー飲むときもいちゃいちゃしてればいいと思う(確信)

それでは「溶かされるように」





こうして、リビングのテーブルで向かい合って、彼女の淹れてくれたコーヒーを飲む時、ときたまに思うのである。
フェイトちゃんと毎日一緒に居られるなんて、私も出世したな、と。

数年前まで・・・といっても、まだ出会って間もない頃の話だけれど、当時の私に「君はね、フェイトちゃんと結婚するんだよ」なんて言っても信じないに違いない。
もちろん最初から仲良くなりたいなというのはあったけれども、こうして一生を共にすることなど頭にあったわけもない。
私でそうだろうということは、ちょっと角のあったフェイトちゃんは尚更だろう。
「君はね、私と結婚するんだよ」と言っても、にべもない態度を取られて、むしろ私がへこんでしまいそうだ。


「どうしたの、なのは。そんな楽しそうな顔しちゃって」

「えぇっ、顔に出てた?」

失敗失敗、どうやら顔に出ていたらしい。
フェイトちゃんは不思議そうな顔をしつつ、手元のコーヒーに角砂糖をいくつか入れる。
続けてミルクも入れる。コーヒーミルクアリアリ。
一方で、私は砂糖のみ。微糖派。
ブラックも飲めないわけではないけれど、正直言って苦いし。
好きな人には申し訳ないけど、あれを好き好んで飲むのはちょっと気取ってるという印象を受ける。

フェイトちゃんは、苦いコーヒーがあまり得意ではない。
元々コーヒー派ではなく紅茶派なのだ。
別にコーヒーじゃなくて紅茶でもいいんだよと言ったこともあるが、どうもそれは気がひけるらしい。
気を引く必要もないとは思うのだが。そんなところも彼女らしいといえば彼女らしい。

結婚する前から、彼女にはそういうところがある。
上手く言い表せないが「お嫁さん気質」のような。

私かフェイトちゃん、どっちかが譲らないといけないなら、自分が譲るし、
家で一緒に食事をするときも、絶対に私より先に箸をつけない。
席に着くときは下座に座るし、外に出れば基本的に前は歩かない。

そして朝は私より早く起き・・・は、しないか。
いいんだ、朝が弱いのはフェイトちゃんの可愛いところだ。

くどいようだが、いずれも私がそうしてくれと言ったわけではない。
彼女が私に示してくれる好意の一例である。


「ねぇ、なのははどうして私と結婚してくれたの?」

まだ熱いコーヒーに、首をすぼめるようにして息を吹きかけながら彼女が言う。
もしかすれば、息を吹きかける仕草で恥ずかしいのを誤魔化しているのかもしれない。

フェイトちゃんもなんとも答えにくいことを聞く。
どう答えたって私が恥ずかしいじゃないか。

ソーサーにカップを置いて、フェイトちゃんを見つめるようにすると、見る見る彼女の頬が赤くなる。

「一番の理由は、やっぱり愛してるからかな。愛してるだけじゃなくて、愛されてるっていう自覚もあったし。残りの人生を一緒に歩めたら、どれだけ素敵だろうって思ってさ」

フェイトちゃんは何も答えない。
が、口の端が微妙に上がっているのを見ると、恐らくは、緩みそうな口元を必死に押さえ込んでいるのではないだろうか。

「まー、あとは結婚しちゃえば、いちいち虫除けもしなくて済むからね」

いいつつ、首筋を指で指し示すと、瞬間きょとんとした彼女も、直ぐに察して、指された首筋を手の平で押さえる。

「なっなっ・・・」

言葉にならない様子で照れるフェイトちゃん。
別に手で押さえなくたって、今日は付いてないでしょう。

「フェイトちゃんこそ、どうして私と結婚してくれたの?寄ってくる子はたくさん居たでしょ?」

男女関係なく、という言葉は飲み込む。
フェイトちゃんがもてた、というのは正直特に想像に労することではない。
容姿端麗、才色兼備、沈魚落雁。
あちらこちらから誘いの声をかけられては、その対応に彼女が困っていたのを思い出す。

といいつつも、心配はしたことはなかった。
公に恋人となる以前から互いに強く惹かれあっているのはわかっていたし、私には彼女がそんな誘いには乗らないだろうという自信があったからだ。
勿論、立場的に断るのが難しい場合は、形だけは食事に行ったりはしていたが、これも同じく、その後火遊びするようなことはないだろうと思っていたし、私自身がそんなことになれば許しはしないと強くアピールしていたからだ。


フェイトちゃんは、しばし手元のコーヒーに目線を注いでいたが、やがて意を決したように口を開いた。

「私はね、もう十年以上も前に、一人の魔法使いに助けられたんだよ」

ものすごく頑固で、私のいうことは聞いてくれないし、手加減もしてくれない。
魔法と出会って間もないっていうのにすごく強くて、赤の他人の私の為に必死になってくれて。
まぶしいくらいにまっすぐで、やさしくて。

あの時、私が勝ててたらどうなってたのかな、なんて思ったりもしたけど。

それでも、その子が居なかったら、きっと私は本当の意味で幸せにはなれなかったんだと思う。

運命だとか、奇跡だとか。
人は時々口にするけれど、そういうことって本当にあるんだと。その子と居るとそう感じることもあった。

それで。
ちょっとしたら。

本当にちょっとなんだけどね。ちょっとしたら、いつの間にかその子のことが好きになってて。
その子が人生に欠かせなくなっちゃって。

出張なんかで何日も会えないと、本当に寂しくて。

「ねぇ、なのはも知ってるでしょ?その子のおかげで、私は今幸せ。変なところで頑固なのは直ってないし、周りが見えなくなると私のいうことも聞いてくれないし、何かあると手加減無用の全力全開なのも直ってないけど・・・」

「あ、あはは・・・」

「だ、け、ど。 やっぱりものすごく強くて、護ってくれて。いつも私の為に必死になってくれて。眩しいくらいにまっすぐで、優しくて。まったく、好きすぎて困っちゃうよ」

そういって笑う彼女は、思わず抱きしめたくなるくらいで。


運命の赤い糸は、たとえ切れていてもつなぐものだ。
三日月の夜ににちらと指から伸びるように見えたその糸は、夜の闇にふっと溶けて。
黒いコーヒーに手をかざしてみても、最早何も見えない。

運命の始まりと終わりを知るからこそ、運命の最中で彼女と一緒に居られたら良いと思う。
重なりあう運命にあてられながら、彼女と踊り続けられたら良いと思う。

今宵もどこかで、赤い糸をつなげた二人が出会う音がする。

彼女の微笑みと、淹れられたコーヒーと。

私から彼女に伝える、ありったけの愛。

冬の空気が悪戯に持ちかける程度の切なさや儚さでは、今の私たちに入り込めない。

私に向けられる真紅の眼差し。

その眼差しに含まれるのは、果たして恋慕であったか、敬愛であったか、それとも、束縛であったか。

夫婦として、貴女と。

永久に、永久に。

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2013.04.29 / Top↑
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