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向こうではクリスマスssもあげたんですが(苦笑)
こうやって見ると、いかに長い間更新してなかったかわかっちゃいますね。

それでは「ただ過ぎ行くクリスマス」




時計の針は、既に午後11時を回っていた。
カチコチとクォーツのムーブメントで1秒、また1秒と時を刻むその音だけが、確かにクリスマスが終わりつつあることを明らかにしていた。
街、ホテル、レストラン、我が家。そういったところで熱気を持っていた、あるいは持っているであろう各々と、ただ黙々と時を進める無常さに温度差さえ感じる。

今年のクリスマスは平日。
多くの人がそうであったように、普通会社は休みではない。
もちろん、それはなのはとて例外ではなく、クリスマスを一緒に過ごせる時間は、夕方からその日の終わりまで。

なのはの帰宅後、フェイト、ヴィヴィオの3人でクリスマスチックな夕食をすませ、メリークリスマスとも言い合い、ヴィヴィオへのプレゼントも渡す。そしてケーキも食べた。
おおよそ、クリスマスに行うべきことは一通り終わったといえる。
その一方で、はしゃぎ疲れたヴィヴィオは早めに眠りについた。
ヴィヴィオは既に冬休みにはいっていて、明日の朝が早いだとか、そういったことはないものの、早く寝ること自体は悪いことではない。

ソファに座るなのはに、もたれかかるように座るフェイトは静かに空想していた。
前述のこともそうだが、2人きりのクリスマスという意味では、ヴィヴィオが寝たあとからのほんの数時間であると。
・・・そんなことを思ってしまうのは、あまりに大人気ないか。


「クリスマスも、もう終わるね」

長らく無言のまま、ゆらゆらと流れていた時間にピリオドを打ったのはなのはの方だった。

「今日が休みだったら良かったんだけどね。そうだったら、もっとフェイトちゃんと過ごせたのに」

私にしゃべりかけるというよりは、独り言のようにぽつりぽつりと漏らす。
それは恐らく、本音であるということの表れだろう。

「別に、私は気にしてないよ」

フェイトの肩にあごを乗せるなのはを横目で見やりながらそう言う。
おなかに回されて抱きしめられるようにされている腕も。なんとなく心地よい。

「・・・私が気にしてるんだよ。フェイトちゃんと、もっとイチャイチャしたかったなって」

一転して冗談めかして言うが、どちからといえば照れ隠し。
なのはは昔から独占欲が強い。いや、決して悪くいっているわけではないのだけれど。
私のことになると、回りが全く見えなくなる。
以前、私が軽い貧血で倒れたと勤務中のなのはが連絡を受けたとき、私の元までわずか30分で駆けつけてきたことがある。
普通は早退するにしても、いろんな手続きがあって。残ったお仕事を誰に任せるかとか。そういったことがあるのでそこそこに時間がかかるはずだ。
これは後でわかった話だが、手続きを済ませたなのはは、残った仕事については、『断ったら何されるかわからない顔』で同僚に頼み込んだらしい。
まぁ、なのはは怒ったら怖いからね。なんだか同僚の方々に申し訳なくなってくる。

・・・そこまで愛されてることに、ちょっとは自惚れてもいいのかな。なんて。
そうなると、ちょっとは意地悪もしてみたくなるというもの。

「ねぇ、なのはは、私とヴィヴィオとはやてとあるいは皆と、誰が一番大事なの?」

するとなのははちょっと困ったような顔をした後、

「うーん、ヴィヴィオかな?」

「え゙っ」
なんか変な声でた。
カエルが押しつぶされたような声だ。人間ってこんな声もでるのか。・・・じゃなくて!

なんてあわあわしてる間になのはが口を開く。

「そういうフェイトちゃんは誰が一番なの?」

「わ、わ、私もヴィヴィオかな・・・」

せめてものお返しにとそういうと、おなかに回された腕が服の中に入ってくる。
ちょっと冷えたなのはの指が冷たく、くすぐったい。

「私が本気にしたらどうするの?」
耳元でそう囁かれると、思わず吐息がくすぐったくて身をよじる。

「うぅ、ほ、ほんとだもん」

だもんって・・・っとなのはが苦笑いしたような気がするが、気にしない。
ほんとったらほんと。なのはがヴィヴィオなんて言うからいけないんだ。

そんなフェイトをなのはが無言で見つめ続けると、ついにフェイトが居た堪れなくなる。

「・・・ごめんなさい、なのはが大好きです。嘘つきました・・・」
私がそういうと、なのはは満足気に微笑む。
そんなの、なのはが一番に決まってるじゃないか。
とかなんとか、あっさり折れた自分の嘘に言い聞かせる。

「だっ、だけど・・・」
なのはは?・・・と聞き返す前に首をひねられて唇が重なる。
直ぐに離れず、歯列を確かめるように舌でなぞられる様にされては、思わず目が見開くのも仕方ない。

「ねぇ、フェイトちゃん。言わないとわからないの?」
余裕たっぷりという様子でなのはが言う。
たまには主導権を握ってみたいと思わないこともないけれど。
こうやって引っ張ってくれるところも好きなのだ。

顔を赤くした私が、小さく首を振ると、なのははぽつりとごめんねと呟いた。

それが冗談であっても、私の名前を答えなかったことに対してのごめんねなのか、一瞬んでも不安にさせてごめんね、ということなのか。
はたまた、愛が重荷になってたらごめんねということなのか。
私にはどの意味にもとれた。

「不思議だね、フェイトちゃんは何年たっても愛おしい」

上手い返事が見つからない。
なんと返しても、野暮な気がする。

何年たっても愛し合う夫婦というのは、もしかしたらおとぎ話なのかもしれない。
愛する人のためなら命を掛けられるというのは、もしかしたら映画だけの話かもしれない。
もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら---

けれど。なのはに限ってそれはない。
なのはとなら、何年も愛し合っていられるだろう。
それは、たまには喧嘩もするけれど。そんなのは愛し合っているということの一面にすぎない。

なのはのためなら、私は命を掛けることができる。
なのはは私の大切な人であるのと同時に、私の恩人だ。
私が窒息するくらいまで与えられ続けた愛に、あるいはそうやって報いることも決して悪いことではない。
といっても、なのはを残して先にいったら、ついてきそうで怖いな。

明日も、明後日も。
来月も、再来月も。
来年も、再来年も。

なのはとこうしていることが出来たら良いなと思う。
ヴィヴィオと仲良く3人で過ごすことが出来たら良いなと思う。
それでそのうち、ヴィヴィオが恋人連れてきたりして。
『ヴィヴィオにはまだ早いよ』なんて言っちゃうんだろうな。


クリスマスが終われば、今度は直ぐに年末だ、年明けだのという話になる。
クリスマスというのは、ある意味では今年ももう終わり・・・というのを知らせる予鈴のようなものだ。


「私も、何年たっても、なのはのことが好き。困るくらい」

言って、今だ服の下から出て行こうとしないなのはの両手に、手を重ねる。

窓の外では、外灯の薄っすらとした灯りに、雪が降っているのが見える。
積もるというほどの雪ではないが、今日に雪というのも風流な気がする。

いよいよ語らいもなくなる。
けれど、それは気まずいということはなく、むしろ話さなくても、ということだろう。


かちこち。かちこち。
休まずに動くその針と。
残り2本の針が一直線となるのは、もう間もなくのこと。

そうなれば、きっとどちらから言うでもなく、もう眠りにつくことになるだろう。

けれど、それまでは。
なのはは私だけのもの。
私は、なのはだけのもの。


こうして今日の。二人きりのクリスマスが過ぎてゆく。

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2013.04.29 / Top↑
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