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こんばんは。
てぃーるーむです。

今日は法事がありました。17回忌ですね。
てぃーるーむ家は浄土真宗高田派なんですが、ああいうのって、適当にやるとバチがあたりそうで怖いですよね(´・ω・`)
自分も死んだ後、子孫にテケトーに年忌やられてたら嫌だなぁとおもって、心を無にして、やましいことも考えずやってきました。って、当たり前かww


さて、今回のSSは、和風な感じのSSです。
設定としては、日本家屋に住むなのはさんとフェイトさんで、二人とも和服で、夜で・・・えーっと。だいたいそんな感じです(?

え?二人称と性別があってない?
そこは、まぁ。愛の力で!


では、「日本・和風・和服」





夜というには、時間は暮れすぎている。
かといって、深夜というには、まだ早すぎる。

そんな時間に、縁側にポツリ。

どちらかといえば白、茶色と言った明かりに映えない色に対抗するように、紺の和服に金の髪。
それから、梅のかんざし。
傍らには小さめのおぼんに、急須と湯のみ。

入れた当初こそ、湯のみに注げばその湯のみが持てぬほどになるお茶であったが、無粋に吹き付ける、春の夜特有の尖った風に、その急須もいざ冷めようとしていた。

「ほぅ・・・」

まだ温かみのあるお茶を一息。
口から漏れた、安堵とも、ただ気が抜けただけとも取れる息は白く煙って、直ぐに霧散した。

西の空に浮かぶ今宵の月は、下弦の月。
満月なら絵にもなると思うけれど、下弦の月では、どうもしっくり来ない。

満月の後にくる下弦の月というのは、なんとも、盛りを過ぎて、散り始めの桜を連想させる。
あるいは、半生を振り返る女性のようだ、とも言えるかもしれない。

ある意味においては、盛りを過ぎたものというのは、どことなく哀愁のようなものをたずさえる場合が多い。
過ぎているからこそ見るものが感じる美しさ、迫力といったものもあることは確かではあるのだが。
好んで散り始めの桜を見に行く物好きは、そうは居まい。


縁側の先に広がる庭のどこかから、延々と鳴きつづける、ジージーという虫の声が、よりいっそう春の夜であることを意識させ、何よりもこれからの夏の到来を、今を過ごす人々に印象付けようとしていた。


そんな、どこか気を呆けさせるような雰囲気に囚われて、摺り足で近づくその気配にまったく気が付かない。


「あれ、どうしたの? フェイトがこんな時間まで起きてるなんて」

突然後ろから掛けられた声に、思わず肩が跳ねそうになる。
湯飲みを落とさなくて良かったと、今度は正真正銘、安堵の息も漏れそうにもなるというものだ。

そんな私の気も知らずに、『やっぱりこの時間はちょっと寒いね』なんていいながら、隣に腰を下ろす。

「あ、あの。御身に障りますから・・・」

と、栗色の髪を優雅に纏める背の君に忠言するも、腰を下ろした彼女はそ知らぬ顔で庭の一点を見つめているように見える。

数瞬間があった後、
「って、起きてる人に言われてもね」

と呆れたように返される。

そういわれてみれば確かにその通りなのだが、寝ている人に忠言は出来ない。
なんとも上手く出来た返し文句だと素直に感心しそうになる。

「何か、考えごと?」
目線はこちらに向けずに尋ねられる。
どちらかといえば、心配しているというよりは、本当にただ単に私がこの時間まで起きているのが不思議であっただけだろう。

「いえ・・・」
とまで言って、どう続けたものかと言葉に詰まる。
ここで私がただ二つ返事で返してしまえば、会話がここで途切れてしまう。
何か最適な言葉を必死に模索するが、ちらと蒼の瞳を横顔ながらに伺ってみれば、続きの言葉を待っているようにも見えない。

案の定、会話はぶつ切りになり、先ほどの返答が着地点を見失ったように虚空に霞む。
何か他愛のない話を振るのも良いと思う。
前々と同じくして、体のことを気遣うのも良いと思う。

けれど、一体何を考えているのやら、それがはっきりとわからず、言いあぐねる格好だ。

「ひとつ、頼まれてほしいんだけれど・・・」

差し出されたのは、雅楽の舞に使われる扇。
当然のことながら、私がどの演目で舞うにしろ、演奏はない。

仄かな月明かりが照明。
虫の声が管弦。
松が背景で、舞台は庭。

白の足袋に二枚下駄を履いて、渡り石を歩む。
コツ、コツと小耳に良い音が、静寂の中で嫌になるほど大きく響く。

数えて十ほどのところに、少し大きめの渡り石があり、庭で舞を所望のときは、ここで舞うことにしていた。

扇を持って、舞い始めれば、たとえ演奏はなくとも、奏でられる音楽が頭に響いてくる。
繊細で、たおやかな女性のようなイメージを受けるあの独特の音色を踏襲する。

あえて、この演目を舞えば、なんとなく愛に胸まで浸かれるような気がして。
たとえ楽器がなくとも、私の舞を見れば、黒の袴に身を包んだ背の君が、やさしく抱擁してくれるのではないかと思ったりして。

金の髪が月明かりに儚く映えて、ひどく美しく。
日本式の庭園に美女の舞、春の夜に半分の月、風流だなんて、なのはが見惚れている間に舞は終わった。


「お見事。キレイで可憐で、優雅。思わず、見惚れてた」


「そんな、お戯れを」


「今日の舞いは、想夫恋だったね。あんまり得意な演目じゃなかったと思ったけど。練習したの?」

やっぱり、わかってくれた。

何を演じたのかも、なんとなく、求めたことも。

伸びる腕が、私の頬に触れる。

本当に聞きたいのは、練習したかどうかじゃない。

そういうことではなく、『意図があって想夫恋を選んだのか?』ということ。

はい、とだけ小さく私が答えると、大して間をおかずに、それで?と返ってくる。

一から十まで、全部お見通し。

お見通しなら、意地悪しないでほしいのだが、その顔がいかにも、私を困らせて遊んでいるように見える。

こうなってしまったら、私から言うしかないだろう。
「あ、あの・・・。せ、接吻を・・・」

妻の側からこのようなことを、と時代が時代で、場所が場所ならそれは恐らく、そうなっていたのではあるまいか。
と、いうよりも、そうなってはいないが、やはり非常に恥ずかしい。

愛や恋を、昔に比べれば幾分時代も変わり、口に出すようになってきたとはいえ、やはりそれはある程度は節操は持つし、体裁もある。
島原や吉原ではあるまいし、何も三度尋ねて云々・・・と、これは女性ではなくて男性側の心得であったかなと思い直す。
もっとも、その当たりのこれ色事に関しては、主人がそれを気にするのか気にしないのか、ということもあるだろう。
亭主の好きな赤烏帽子。それで良いといえば、それで良いのである。


背の君の手が、頬から滑るようにしてかんざしに移る。
彼方との距離が、やんわりとなくなる。

「~~~ッぅん」

何度回数を重ねても、慣れる気配は全くなく、緊張感と恥じらいだけが独り歩き。
こんな反応だから目の前の彼女に、弄ばれるのだろうという自覚はあるのだけれど、こればかりは直そうとしても簡単に治る物でもない。
そんな相変わらずの私の反応に気を良くしたのか、満足気な様子で、わずかばかり下がったようにも見える目尻が離れていく。

と、かんざしにかかっていた手が不意に奥襟を掴むと、離れたばかりのその温もりが先程よりも、いっそう情熱的に、いっそう長く、求め求めて求められ。


離れ行くときに、そのまま奥襟を引っ張られ、なのはの膝へと膝枕をする形になる。

耳まで赤くしたフェイトからすれば、顔を見合わせるよりは好都合であったかもしれない。
あるいは、それを見越して、なのはがそう計らったのかもしれない。

フェイトは今、自分の顔が赤いことを自覚しているために、なのはの顔を見上げることが出来ない。
視線は、先ほどまで自分がいた空間のあたりを、何を見るでもなく、ほとぼり冷めるまでといった様子でただ視線を投げる。

石灯籠のひとつでもあれば、その明かりがきっときれいで、庭にある植物も照らされるのではないかとふと思うが、ひとつの完成形である現在の庭に手を加えるのは、無粋というものだろう。
格式の高そうな庭園につき物のししおどしがないため、カポーンというあの独特の音もない。
しかしそれでもやはり、今の静けさを持った庭が何よりも気に入っていた。


なのはは脇のおぼんにひとつ目をやると、それがお茶であることを確認すると、いささか落胆したように口を開く。

「なぁんだ、お茶かぁ。膝に伴侶に、季節を感じさせる庭に、若干肌寒い温度。気分的には、当たりの軽い地酒なんだけど・・・」

と、言われても、元より自分が飲むために用意した盆に注文をつけられてもどうしようもない。

お持ちしましょうか、とフェイトが口を開く前に、なのはが『別にいいか』と声を発したため、それを飲み込む。


「もう、今宵は飲みすぎちゃったからね」

なんて、悪戯っぽく笑うなのはに、フェイトは思わず思案をめぐらせる。

飲みすぎちゃった? ここに来る前に一献つけていたということだろうか。
いやいや、声をかけられた時に、お酒の臭いはしなかった。
それに今だって、特にお酒が入っているような様子はしない。

そういうことではなくて、舞も見れたし接吻もしたし、もう十分だということか?
満足した様子を、お酒に例えて、飲みすぎたと言っているのだろうか。


はたまた、あるいは、ただの言葉遊びだろうかと考え直す。

そんなことを膝上で真剣に考え続けるフェイトの様子に、なのはは思わず苦笑い。


「フェイトは鈍いなぁ。フェイトに酔ってるって言ってるんだよ。言わせないでよ、恥ずかしいから」

あぁぁぁと思うがとき遅し。
なるほど、しまった、そういうことだったのか。
袴を羽織った、あいもかわらずキザな主人のことをもっと良く考えればよかったのだ。

本当は地酒がのみたいわけではなくて、それが言いたいがために振りに使っただけではあるまいかという気さえ湧き上がる。


何はともあれ、そんなことを言われては、フェイトの方が酒に酔ったように、より赤くなってしまう。

膝越しに伝わるそんな熱を微笑ましいく、また同時にそんな彼女が改めて愛おしいと、なのはは感ずる。


それから数分。
何をしゃべるでもなく、気持ち中に会話をしたためて、二人が渡りの廊下に立つ。
冷え込みは厳しさを増し、夢へ入りこもうと、縁側に面する横扉を閉め切る。


人の居なくなった庭では、
まるで時間の経過を忘れたように、変わらず虫が鳴き、風が吹き。
こちらは、数刻で変わるはずもないものだが、下弦の月は半分ほどは雲隠れ。


二人で、月を見るのは久しぶりだね、という、言葉にはせず縁側に置き忘れたなのはの気持ち。

出来ればもう少し膝枕にあやかっていたかったという、同様にして置き忘れたフェイトの気持ち。


そんな、至極和風な、色っぽさだけが置き去りにされた、春の夜の出来事。


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2012.04.22 / Top↑
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