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こんばんは、てぃーるーむです。

今回のSSは、まぁ、遅れながらのエイプリルフールネタ・・・というわけでもないんですが。

なのはさん(教導隊)が汚職を隠していることをフェイトさんが見つけちゃったらどうなるんだってSSです。
まぁ、タイトルにもあるとおり、実はフェイトさんがドッキリにかかってるだけなんですけど。
全体的にどっちかっていうと堅い雰囲気のSSです。
・・・2作に分けたくないので全体的にハイペースですけど、見逃してもらえると喜びます(

それでは、「フェイトさんドッキリ大作戦」





これは。
どういうことなんだろうか。

あまりのことに、口から漏れる息に魂まで乗っかって、飛んでいってしまいそうだ。


私がなのはのデスクに置かれていた書類を目にしたのは、本当にたまたま。

と、いうよりも、なのはのデスクに置かれていた書類の置き方が悪く、床に散らばってしまったのだ。
部屋には私しかいないし、まぁ、当然そんなことがあれば書類を拾い上げるわけで。


けれども。

けれども、だ。

まさかその書類が、教導隊側主導による不正入札の記録、ひいてはそれに伴った贈収賄の一覧表とは、思いもよらなかった。

教導隊の隊舎工事の官製談合から、テストデバイスに関する官製談合。

過去5年ほどにわたり、それらの情報が細やかに纏め上げられている。

そして、ところどころにある「担当」や「仲介」、「監督者」といった項目に、なのはの名前もある。

いや、なのはの名前があるからといって、なのはがこの汚職に関っている証拠にはならない。
もしかしたら、担当、仲介、監督、こういった者にはその会合や贈り物の意味ははっきりとは伝わっていないのかもしれない。
「あの会社の担当者さんに、これを届けてほしい」なんて風に言われただけなのかもしれない。


とりあえずこの場では何も見なかった風を装うことにして、書類をまとめてデスクに置く。

・・・。

確認は必要だ。

本当に、なのはが汚職事件に関っていたとしたら、どうすればいいんだろう。
汚職事件じゃなくてお食事券ならいいのに・・・って。
何思って・・・・。まったく、これは。困ったことになった気がする。


いやいやいや。
なのはに限って、そんなことをするはずがない。


先ほど見た書類の内容を忘れないように、覚えている箇所を私物にメモする。


まずは、なのはが立ち会ったと思われる会合があった日付・・・それと、なのはの出退社記録、あるいは出張記録、それを照らし合わせてみよう。

そう思ったフェイトは、コンソールから出退記録を開く。
もちろん一定以上の立場でなければ見られないものだが、フェイトにはその権限がある。



・・・ぴったりだ。

もうぴったりもぴったり。

出退社の記録も、出張場所も、その時間も。
全てが会合や打ち合わせの時間に都合できている。

もはや、なのはが立ち会っていたことは間違いない。
あとは、なのはがこれが違法であることを知っていたのか知っていなかったのか。だ。

だが。
実際には法律ではそのところはあまり関係のない話だ。
法律の無知というのは抗弁するひとつの理由にはなるが、現行法においては減刑の可能性が規定されているのみで、逮捕自体は免れない。


逮捕するって?

誰が?

誰を?

・・・私が、なのはを。

駄目だ。
出来るわけない。

だって。

なのはは。

でも・・・。


執務官の使命とはなんなのか。

正義とは一体なんなのか。

全てを私が胸の中にしまっておけば、それはそれで済む話ではないのか。

第一、あの様子では、当たり前の話だが逮捕はなのはだけでは済まない。
他の教導官から教導隊の上層部、果ては管理局の上層までと。
これは、他に例をみない大規模汚職事件だ。

下手をすれば、立件後にその強力な後ろ盾が揉み消しに奔走する可能性がある。
事件を揉み消すだけではなく、下手をすれば。

私を揉み消しに来るかもしれない。

政治とは、そういうことだ。



『つらい仕事だとは思うけど、頑張ってね』

これは、なのはが言ってくれたことだ。

見たくもないことを見るかもしれない。
凄惨な現場に立ち会うかもしれない。

もしかすればその任務のせいで非難を浴びるかもしれない。

そんな心配事をなのはにチラと話したときに、なのはが真剣なまなざしで私に言ってくれたことだ。

執務官としての職務に誇りを持って、とも言ってくれた。

仕事熱心なフェイトちゃんが好きだ、とも言ってくれた。


そうだよね。
やっぱり。

私が、なのはを止めなきゃいけない。

それは、執務官としての責任であり、親友としての責任であり。

恋人としての責任。



はやてと、シグナムとヴィータに全部話して、立ち会ってもらったほうが良いだろう。

私一人では、正直にいってあまりに荷が重い。



部隊長室へ出向く。

「おお、フェイトちゃんやん。どないしたんや」

いつものようにつかみどころのないほんわかとした笑みを浮かべるはやてに、一瞬気後れする。

「あのね。変なこと言うかもしれないけど。全部本当のことだから、信じてほしいんだ」


「信じてほしいもなにも、フェイトちゃん嘘つけへんやろ」

これまた あっはっは といった様子のはやて。

「なのはを・・・。逮捕したいんだけど」

私が意を決して、はやてにそう伝えると、はやては私が何を言ったのか理解できない様子で、目をぱちくりさせている。

数秒の間を要して、なんとか素を取り戻したはやての第一声は。

『ごめんなぁ』

なんでも、はやてもなのは、教導隊での汚職については知っていたらしい。
だけれど、なのはは親友だし、何より突く闇が大きすぎることが、はやてを沈黙へと振り切らせたらしい。

「フェイトちゃんは、すごいなぁ・・・。私なんて目を背けてばっかやのに」

「うぅん、私だって、そう悩んだから」

壁時計の針を刻む音が嫌に大きく部屋に響く。

はやてがこれ以上何かしゃべる様子を見て取れなくなると、

シグナムとヴィータにも。
それから、はやてにもその場に立ち会ってほしい旨を告げる。


はやては重くため息をついたあと、ひどく、うなだれていた。








なのはが居る、隊長室前に、4人で並ぶ。

万が一に備えて、デバイスを持って。

いくらなのはでも、私たち4人を相手に交戦しようとは思わないはずだけれど。

わからない。いったい、なにが。
彼女の闇があまりにも大きくて、もしかしたら。


4人で顔を見合わせて、ひとつ頷いたあと、ドアを開ける。

なのはは、デスクに座り、忙しそうに何かしらの書類にペンを走らせている。
そのデスクには、数時間前にみた、あの書類の入った茶封筒も、まだ置いてある。

私たち4人が入ってきたことに気付いてはいるが、そのペンを止めようとはしない。

「・・・なのは」
私が口を開く。

私のいつもとはどことなく違う雰囲気に気が付いたのか、なのははペンを机に置くと。

机に両肘をついて、両手を組んだ。

目つきは、なんとなく鋭く感じられる。

「高町教導官。あなたを、入札談合等関与行為防止法違反の疑いで、逮捕します。反抗しなければあなたには弁護の機会が与えられます。」

一瞬の、間がどこまでも重く。
どこまでも長い。

「そんなに、怯えたように距離を取らないでよ。手をだすつもりなら、とっくに出してるよ」

なのはから発せられた殺気じみた気配に思わず身構える。

「けれど残念。フェイトちゃん。教導官が法律に詳しくないなんて思っちゃだめだよ。基本的にこういったケースでの逮捕には逮捕礼状が必要だよね?それに。もしもフェイトちゃんが何かしらのものを差し押さえるつもりなら、それについても礼状が必要なはずだよ」

例えば、これとかね。 と、なのはは例の茶封筒をデスクの引き出しにしまう。


「だから、お願いしに来たの。逮捕・・・されてくれないかなと思って」


「・・・フェイトちゃん、自分が足を踏み入れてる藪から出てくるのが、蛇どころじゃ済まないってことは、わかってるよね?」


「もちろんだよ」

私がそう返すと、なのはは、そう。と一言いっただけ。

けれど、なのははどこまでも余裕な様子。

「もしも、本気で私を逮捕するつもりなら。私がおとなしくしてる間にやっちゃったほうが良いよ?」

なのはがレイジングハートを持っていないことはわかってる。
デスクの一番上の引き出しに入ってるはずだ。

あの引き出しに、手が伸びたら、もう引けない。

「手が。震えてるよ」

なのはが、私にそういう。

私が思わず、手に目をやるのと、なのはが引き出しに手を伸ばすのは同時だった。


「なの・・・っ」

警戒して、距離を広めにとっていたのも裏目に。

結局、なのはの思ったとおり。


「だから、早くしたほうがって言ったじゃない」

なのはは素早くはやての後ろに回りこむと、はやてを盾にするようにして、私たちに向かい合った。


「フェイトちゃんだって。痛いのは嫌でしょ?」

シグナムとヴィータのほうを見やるが、二人ともはやてを盾にされては。と言った感じに見える。

一体。どこで何を間違えた?

部屋に入った時点で、なのはを取り押さえるべきだった?

それとも、私だけでことに挑むべきだった?

はたまた・・・あるいは・・・。
あるいは・・・。

既に手遅れとなったことばかりが頭の中を一回り。また一回り。


なのはが、そのままの体勢でデスクまで身を引くと、茶封筒を私に投げるようにして差し出す


私がその茶封筒を開ける。
中には、私が見たたくさんの書類ではなく、今では1枚紙が入っているだけ。

恐る恐る。


『ドッキリでした』

と、だけ書かれた紙。

急激に空気が弛緩するのを感じる。


「ね?やっぱりフェイトちゃんには無理だったでしょ」

勝ち誇ったような顔ではやてに話しかけるなのは。
先ほどまでの思わず後ずさりするほどの威圧感を放っていたなのははどこにいったのか。

「いやー、フェイトちゃんあかんよぉ、もっとしっかりせな」

って言われてもー。

「そうだぞ。テスタロッサ。一線級の執務官があんなことでどうする」

って言われてもー。

「まぁ、よかったじゃねぇか。ドッキリで」

・・・それは私をフォローしてくれてるの?ヴィータ。


そんなことより。
全部どっきりだったなんて。

こんなことならきっちり決めたかったなと、少し的外れな感想がフェイトに生まれる。


「ねぇ、フェイトちゃん、今回はどっきりで済んだけど。本当だったらどうするつもりだったの?」

なのはの怒るような声に思わず背筋が伸びる。

容赦ないなぁ、なのはちゃん、とはやてが漏らす。


「えっと。あの。すみません・・・」

「そんな泣きそうな顔しないでよ。私がいじめてるみたいじゃない」


いじめてるみたいもなにも、いじめてるじゃないか。

「でも、私は本当に心配で不安でどうすればいいかわからなかったんだよ」

少し拗ねたようになのはに訴える。

なのははそんな私への対応に少し困っているようだった。


「フェイトちゃん。相手が親しい人で躊躇すると、今回みたいなことになっちゃうかもよ?そこはやっぱり、ちゃんとないと」


「でも、相手がなのはなんだよ?」

もともと泣きそうだった上に、そんなことをいうと思わず目に涙が溜まってくる。

「だ、だって、わっ、わたっ・・・」

「わー!わー!フェイトちゃんごめんって!泣かないでって!」

なのはがあたふたと両手を振りながら駆け寄ってくる。
抱え込んだ不安が涙にかわって、ほろほろと頬を伝う。


「あー、なのはちゃんフェイトちゃん泣かしたらあかんやろぉ」

はやてがすさかず茶化しにはいるが、なのはが睨むとすごすごと引き下がる。
・・・なのはちゃん、フェイトちゃんのことになると怖いからね。


事態をどう収拾すべきなのか。

どうやったら収拾するのか。


泣いてる人が一人。
それをあやしている人が一人。
茶化すに茶化せずどうしたものかと悩んでる人が一人。
居ずらくなってきて、出来れば部屋から出て行きたい人が二人。


そんな各々に、なんとか落ち着いたフェイトのお叱りが飛んだのは、これは、言うまでもないことだろう。

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2012.04.09 / Top↑
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