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こんばんは。
てぃーるーむです。

今回は、遅ればせながら、ホワイトデーのSSとなります。

・・・特にそれ以外に書くことも無いので、それでは、「ほわいとでー」





ホワイトデー。

恋する乙女の聖戦から1ヵ月後に設定されたそのイベントは、バレンタインデーに一喜一憂した男性側に苦悩を与える一日といっても過言ではない。

それは、なのはとフェイトにとっても同じこと。

と、言っても、なのはとフェイトの場合は少し事情が違う。
二人の間では、ホワイトデーにお返しするのはなのはだけだ。

なぜならば、翌日がなのはの誕生日ということもあり、ホワイトデーにフェイトもお返しをするということになると、フェイトは連続2日で何かしらのプレゼントのようなものを用意することになる。
やっぱり2日連続だと、2日目はホワイトデーのプレゼントよりも期待をしてしまうものだし、そうなるとフェイとの負担が大きいのでは、ということで数年前から二人の間で、ホワイトデーのお菓子はなのはだけ、ということでやってきたわけである。

クッキー、マシュマロ、飴。このあたりがお返しとしては定番だが、それぞれに意味があるということを、今では知らない人の方が少ない。


クッキーは、お友達でいましょう。
マシュマロは、お気持ちには応えられません。
そして、飴は、あなたが好きです。

では、フェイトへのお返しは毎年飴なのか?というと、もちろんそんなことはない。

二人の間では、クッキーだろうがマシュマロだろうが飴だろうがチョコだろうがケーキだろうが、それに込められている、世間一般で言う意味というのは気にしていない。


そんな、恋人同士のホワイトデー。


「・・・今年は、はい、フェイトちゃん」

なのはがフェイトに手渡したのは、ミッドにある美味しい有名なお店のクッキー。
味も味なら、値段も値段。
雑誌の特集、クチコミなどの影響で、いつか食べてみようかなとフェイトが思っていたものだ。

そういえば、この間、なのはと一緒にこのお店の前を通ったな、と思うフェイトだがその表情はいまいち優れない。


「ありがとう、なのは」

それでも、精一杯の笑顔で答える。


おかしい、今までは、お菓子の種類は何であれ、必ず手作りだったのに・・・。
もちろん、このクッキーだって美味しいよ。
美味しいに違いない。

が、しかし。

「珍しいね、手作りじゃないなんて」

思わず、口から漏れる本音。

どちらかといえば、こういうことを口にしない・・・というか、なのはに貰ったものにあまり意見しないというか。
そんなフェイトから、一言とはいえ、言葉が漏れたのだ。
その一言から垣間見える心は、幾分と重く、雨模様。


「いやー、ほら。私そんなお菓子作るの得意じゃないからさー」
あはは・・・と笑うなのは。

何を言ってるいるんだろう、なのはで得意じゃなければ、大体の人はそれ以下ということになってしまうじゃないかとフェイトは思う。

これはフェイトが過大評価しているわけではなく、はっきり言ってなのはは料理とかお菓子作りだとか、そういうのは人よりも遥かに上手い。
私だって苦手なわけじゃないけれど、なのはくらい料理が得意ならいろいろと面白いだろうな、と。


「それに、フェイトちゃんがこの前なんだかここのお店のクッキー、食べたそうな顔してたから」

「そっ、そんな顔してないよっ」

子供みたく、むきになって反論するフェイトだが、それはむしろ『そんな顔してました』と暗に言わんばかり。
それがなのはにわからないはずもない。

「えー?してたでしょ?」

「し、してないったら」

してないったらしてない。
知らないったら知らない。

「ふーん?」

・・・。

・・・、・・・。

「・・・してました」

してました。
はい。
ちょっとだけ。


本当は、すっごく。

どちからといえばクールな印象のあるフェイトだが、やっぱり年頃の女性。
流行のお菓子だとか、巷で噂のスイーツだとか。
そういうのはどうしても気になってしまう。
気にしないようにはしていても、職場でオフィスの若い女性局員が声をピンクにしてきゃーきゃーと、あそこのあれが美味しいだの、今度あそこに行って見ようだの四六時中言われていてはどうやったって頭から離れない。



食べたいと思っていた、と認めた私に満足したのか、なのははどことなく勝ち誇ったような笑みを薄っすら口元に浮かべて、まぁ、食べてみて。とクッキーを私に勧める。


そういわれて、クッキーを取り出す。

見た目は、普通のクッキーだ。
ふつーもふつー、シンプルもシンプル。

まるで「クッキー」という型でくりぬいて、そのまま箱に詰めただけ。

一口フェイトがかじると、サクッと耳に当たりのよい音がする。


さきほどの笑みを携えたままのなのはに、フェイトは声を返す。
今の一口で、なのはの仕掛けは全て見破った。

「これ、なのはが作ったんでしょ?」

そう。間違いない。
箱こそ、例のお店の箱に入っているけれど、間違いなくこのクッキーはなのはの作ったものだ。

なのはの浮かべた笑みに、悪戯に引っかかる人を眺める子供のようなニュアンスが含まれていたのも1つ。

開けるときにはそこまで気にしていなかったけど、新品であれば当然あるはずの、箱に封が無かったのも1つ。


だが。決定的な理由はそれではない。

なにも、なのはの愛の味がしたとか。
このクッキーから甘いロマンスを感じ取っただとか、そういったロマンティックな、ファンタジーな、抽象的なものが理由ではない。


どうしてわかったの?といわんばかりの彼女に、言葉を続ける。


「このシナモンパウダー、なのはのアレンジでしょ?」

なのはから貰ったクッキーにはシナモンパウダーが含まれていた。

ホワイトデーに貰うなのはからのクッキーには、必ずシナモンパウダーが使用されていた。
理由はよくわからない。
なのはの好みなのか、なのはがクッキーを作る過程で、何か都合が良いのか。
それとも、単に香り付けに使っているだけなのかもしれないが。



「あー、そっかー、迂闊だったなぁ。失敗したぁ・・・」

どことなく、悔しげな彼女。

「・・・あの、なのは。これ、本当のクッキーはどこに行っちゃったの?」

私がそう尋ねると、なのははどこかバツの悪そうな顔をして。

「いや、フェイトちゃん、やっぱり、本物があってのアレンジだよね」

なんて、一瞬で開き直ったようだった。


ようするに、なのはが食べちゃったのか。

それで、それをお手本にクッキーを作って、うっかりいつものようにシナモンパウダーを入れてしまった。と。


フェイトの気持ちは、中身がある意味では偽物であったというがっかりな気持ち、本当は食べたかったなのはの手作りのクッキーが食べられたという嬉しい気持ちとが相反し合う、なんとも煮えきらない。


と。
なのはが、先ほど消えたはずの。

悪戯を思いついた子供のような、平たく言えば、向けられた側はちょっと嫌な予感がする笑みを口に浮かべていることに気付く。


「ねぇ、フェイトちゃん」


「・・・な、なに?」


「どうして、フェイトちゃんはオリジナルのクッキーに、シナモンパウダーがかかってないって知ってるの?」


本当は、職場で若い女の子に『ここのクッキー、美味しいんですよぉ』なんていっておすそ分けしてもらったことがあるなんて言えない。
本当は、なのはから貰った箱を見た時点で、なんとなくの味は想定していた、なんていえない。
いや、嬉しかったのは本当だけど・・・。美味しかったし・・・。

えーっと、あーっと。
とフェイトは理由を考える。


と。


「あ、あの、ほら、あの雑誌の先月号に書いてあったんだよ!」

不自然なほど、力強くいう。まさに力説だ。
あの雑誌、というのは今現在ロビーに転がっている、一見ありふれた雑誌。

が、言って即座に致命的なミスに気が付く。

『あの雑誌』って。

もしかしなくても、なのはも読んでいる。

そんなことが載っていなかったのは、なのはも良く知っている。


しまった、本当にしまった。
その場しのぎにもほどがあった。

後悔するフェイトだが、言ってしまったものは仕方が無い。


一体なのはにどう説明したものか、どう説明すれば納得してもらえるのか。


なのはを目の前にしながらも、フェイトの頭は、そのことでいっぱいだった。


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2012.03.19 / Top↑
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