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おはようございます。
てぃーるーむです。

昨日はバレンタインでしたね。
全国の恋する乙女を、私てぃーるーむは全力で応援しております!・・・いや、ほんとに。


それでは、遅れ馳せながらバレンタインSSを。

「ビターな甘さが大人な甘さ」






一年には、多くの記念日、イベントが存在するということは、説明する必要もないことだ。
節分、クリスマス、ハロウィンなどなど・・・。

そして今日は、全国の女性が心に何か思わないわけには行かない。

そんなバレンタイン当日。


そんなわけで、とあるミッドの自宅で、なのははフェイトの帰宅を今か今かと待ち侘びているわけである。

普通、バレンタインといえば、相手方には内緒に内緒にチョコを作って、当日に「あの・・これ・・・」なんて頬を染めて恥らいながら渡すというのが、ある意味ではひとつのテンプレートであることは間違いない。

しかし。
毎年のようにチョコレートを交換し合っているなのはとフェイトの仲においては隠し隠されよりは、『今年はどんなチョコレートがもらえるのだろうか』と思案しあうのがここ数年続いている。
流石に作っているところを見られるのは避けるようにしているが、チョコを交換することが確定している仲だからこそと言えよう。

ところが、そんな二人の仲をもってしても、『バレンタイン』というものは、そんなに簡単なものではない。

そもそもチョコレートを手作りするのか、はたまた美味しいと有名なお店で買ってくるのかという悩みから始まる。
いくら心をこめてチョコレートを作ると言っても、その道のプロである人が作ったチョコレートに比べれば、風味や口当たりはどうしても劣ってしまう。
甘すぎるチョコレートはたくさんはたべられない。アクセントの少ないチョコレートはすぐに飽きてしまう。

そこは伝家の宝刀である「愛に勝る調味料など存在しない」と思い貫けば良いのかもしれないが、いかんせん、なのははそんな風に振り切れるような性格ではない。
何をあげるにしても、何をするにしても「フェイトちゃん喜んでくれるかな」と、考えずにはいられないのだ。

と、いうわけで「手作り」という最初の分岐点における結論がようやくでる。


それもつかの間。『じゃあどんなチョコにするの?』ということになる。

このような何層もの波状攻撃に晒されねば、バレンタインというのは乗り越えられないのである。







「今年は上手く出来たような気がするっ・・・!」
毎年そう言っているような気がしないでもないが、こういうものは気の持ちようだ。
もしかしたら「今年は失敗したな」とちょっとでも思ったら、チョコレートの神様が本当に味を悪いほうに変えてしまうかもしれない。

今年は甘く甘くのミルクチョコレート。
繰り返すようだけれど、今年のチョコレートは会心の出来だ。

きっとフェイトちゃんも喜んでくれるはず。

ラッピングは自分でやったからそんなに豪華なわけではないけれど、ごく一般の市販のラッピングとならば遜色ないはずだ。

あとは・・・あとは・・・と考えているうちに、玄関が開く。


「ただいま」
文字をつけるとすれば にへらっ といった感じのフェイトちゃんがリビングに顔をのぞかせる。

なんて無邪気な笑顔なんだと、さっきまで保たれていた微妙な緊張が一瞬で弛緩してしまった。


「おかえり、お仕事お疲れさま」

フェイトちゃんはそのまま、いそいそとリビングに入ってくる。

もうバレンタインムード全開だ。

けれど。

「手洗いして、うがいして、服を着替えて、それから・・・ね?」

なんだか子供に言い聞かせるような文句だけれど。

フェイトちゃんはちょっとがっかりしたような感じで、小さく はい と返してリビングを後にする。

そんな風にされると私が悪いことをしたみたいだ。

庭に迷い込んでニャーニャーと餌をねだる子猫を無慈悲に追い出す、どこかの生真面目な人間みたいじゃないか。

フェイトちゃんを子猫に例えるのもなんだかおかしな話だけど、なんとなく、フェイトちゃんって猫っぽいし。

こう、上手くいえないけれど、甘えん坊なクールっていうのかな。

数十年先には甘えん坊なナイスミディになっているに違いない。

それはともなく。なるほど、猫さんね。

これは、とりあえずは先制はいただいたかな。



と、ひょこっとフェイトちゃんが顔を出す。

「えへへ、戻りました」

えへへって。
えへへって。

かわいすぎでしょっ!


「おかえり。かわいい猫さん」

一瞬固まったフェイトちゃんの顔も、すぐに赤くなる。


「あの、ちょっと恥ずかしいかな、なんて・・・」

「そーぉ?鳴いてくれないの?」

そうしたら。蚊の鳴くような声で、「にゃー」って。

先制攻撃は成功といって良い。

いつもに増してかわいいフェイトちゃんも見れたことだし。

「はいっ、フェイトちゃん。これ。私からのチョコ」

フェイトちゃんはあぅあぅと顔を真っ赤にしたままだけれど、これまた、小さな声で「ありがとう」と。

お返しに差し出されたのは彼女らしく、丁寧にラッピングされたハート型とわかるチョコレート。

「食べていい?」

私がそう尋ねると。もちろんだと返ってくる。

フェイトちゃん、今年はどんなものをくれるんだろう。
去年はブランデーの入ったお洒落なチョコレートだったなと思い返す。

もしかしたら今年もお洒落な感じにラムレーズンの入ったチョコレートとか。ラズベリーの入ったフルーティなチョコレートとか。
そういったものかもしれない。

あけてみると、一見してみては普通のチョコレート。

アーモンドのかけらが見えるわけでもなければ、何かの香りが鼻をくすぐるわけでもない。

「これって・・・?」

問いかけるような目をフェイトちゃんに向ける。

「今年は、ビターチョコにしてみたんだけど・・・」

なるほどなるほど、ビターチョコか。

少し食べてみると、ビターというほど苦くはなく。
チョコレートというほどは甘くない。

なんとも丁度釣り合いの取れた甘みが口に広がる。

「ははー、大人なチョコレートだね」

フェイトちゃんらしいチョコレートだな、と思う。

バレンタインに、ビターチョコをフェイトちゃんがチョイスしたのはずいぶんと久しぶりなはずだ。
少なくとも、ここ5年はビターチョコではなかった。

これは今年のバレンタインはやられたなと思う。

ほどよい甘みが、彼女の、どこか照れ隠しのような愛のような気がして。
ビターにされたチョコレートに、彼女が甘さに飢えているのではないかと思ったりして。



「なのはのチョコは。なのはらしいね」

私がキョトンとしていると、フェイトちゃんが言葉をつむぐ。

「うぅん、あの。その。愛されてるなって」


チョコレートを通して、オーバーフローするほどの愛を伝えることが出来れば。

チョコレートを通して、彼女の求めるものを感じ取れれば。



「フェイトちゃん、最近、寂しかった?ごめんね?お仕事、忙しかったもんね」

フェイトちゃんの顔に、『なんでわかったの』とはっきり出る。
そのまま油性マジックでなぞりたいくらいに。

なんだ、やっぱりそうなんだ。

猫さんは寂しがりやだからね。




来年も、こんなバレンタインが来れば良いのにと思う。

来年も、彼女ともっと愛し合えていられればいいなと思う。


ビターなチョコレートだからこそ。

もらったあとは、より甘く。





チョコレートよりも早く。

チョコレートよりも深く。



チョコレートよりも遥かに溶け合った二人を、夜が包み込もうとしていた。


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2012.02.15 / Top↑
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